元々ここにはエインとの約束で来たんだし、それにエインはこのゲームに詳しそうだ。
よし決めた、エインと組むよ!
金色に輝く目は綺麗な三日月形を描き、大きなしっぽは左右に振られている。エイン、すごく喜んでいるな。
よっしゃ!
ふんっ、先に言っとくが、ぜってぇ手加減なんかしねぇからな。後でピーピー泣くんじゃねぇぞ。
PLAYER、気ぃつけへ。エレガントなれでーは、戦いの場で手っこ抜がねはんで!
ゲーム開始前の意気込み……すごく怖い。
そう怖がんなって、絶対俺達が勝つからさ。
そんな会話の後、私達はスタッフの人に教えてもらいながら装備を身に付け、一人一つ、レーザー銃とダミーのナイフが配られた。攻撃の当たり判定はコンピューターが自動で行う仕組みになっているようだ。バトルフィールドに入る前に、二組に分かれた私たちはそれぞれの陣地へ案内された。
アナウンスで号令が出ると、すぐさま陣地からフィールドに出て、宝探しが始まった。
サバゲー用のフィールドだということはわかってるつもりだけど、それにしてもリアルだね。木も川も、茂みの感じも完全に自然界そのものだよ。
エインの故郷もこんな感じなの?
興味があるなら、いつでも連れてってやるよ。オヤジも、いつか絶対に時間を捻出して君を出迎えるって言ってたぜ。
へ? ってことは……お家の人に私のことを話したの?
あ、いやそれは……家族に連絡する時って、身近にいる奴の話をするもんだろ? PLAYERと俺の仲だし、みんなに君のことを軽く教えたんだ。
でも、そんなに気にしなくていいからな。オヤジだって別に大層な地位がある訳じゃねえしよ。それで……俺の実家、行ってみたいか?
もちろんだよ!
よっしゃ! その一言でやる気マックスになったぜ! 今ならゼクス十人はやれそうだ。
あはは、それはちょっと言い過ぎでしょ。ゼクスだって無駄に筋肉つけてるわけじゃないんだからさ。そうだな……言っても五人くらいじゃないかな。
エインと目が合った瞬間、二人して笑い出してしまった。これなら、ずっと行きたいと思っていたあの場所で「狩り」をする計画を立てても良さそうだ。でもその前に、今日をなんとか乗り越えないと。
「ヴーッヴーッヴーッ」
そんなことを考えていると、右腕のレーザー感知器が激しく震え出した。点滅する赤色の光は、今まさに「攻撃」を受けたことを意味する。
ひとまず隠れられる所に!
私と手練れの狩人との差は歴然だった。敵の奇襲を受け、エインは即座に大人二人が手を広げても足りないくらいの太さを持つ木の後ろに隠れたが、私はどこに逃げればいいかもわからずその場に立ち尽くしてしまった。
PLAYER、俺の後ろに来い!
わ、わかった。
背後から、「パンパンパンッ」という銃声が絶えず響く。エインがいる所まで走ったわずかな間に、左腕にも被弾してしまった。為す術なく、私は頭をかばうために付近の茂みにしゃがみ込んだ。
PLAYER、銃声を聞いた感じ、敵は一人みたいだ。俺が引きつけるから、その隙により安全な場所に隠れろ。
そんな、危ないよ。
俺はまだ無傷だから、君より余裕がある。それに、撃たれてから五秒間は無敵になれるだろ。その間にまた隠れるからさ。
この状況では、エインの提案が最善だろうし、悩んでいる暇もない。そう思い、私は頷いた。
エインが敵の前に躍り出ると、予想通り相手の火力がそっちに割かれた。エインの左肩のランプが光ったあたりで、私は無事に先ほどまでエインがいた木の後ろに隠れることが出来た。
ここまで執拗にエインを狙うなんて、多分ゼクスだろうな。
背負っていたレーザー銃を構えて、スコープを覗きながら周囲の状況を確認してみると、木の葉の隙間から微かに茶色の毛が見えた。しかし、ゼクスのレーザー感知器はしっかりと隠れていて、ここからでは何も出来ない。
それにしても、宝探しゲームでは、公平を期すためにターゲットのお宝をそれぞれの陣地からちょうど真ん中のあたりに隠すのが普通らしいけど、ゼクスはどうして、こっちの陣地の近くにいるんだろう?
エイン、ゼクス達は、こっちのチームを全滅させてから、宝を探すつもりなんじゃない?
ハンナの姿がまだ見えないってことは、ゼクスが俺達の足止めをしてる間に、ハンナが宝を探してるっつー可能性もあるな。
けどまあ、一人で俺達二人を相手しようなんざ、舐められたもんだぜ。
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