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今回は行かないでおこう。

jyanshi: 
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[撫子]PLAYER、雨が早く止んだらそこに行くか? それを撫子さんに言おうと思った時、彼女に同じことを言われた。 あの絶景スポットについて検索し、スマホを撫子さんに見せた。 [player]あの場所、「九つの夕日」って謳い文句で最近は人気がすごいらしいんだ。今行ったところで人混みしか見えないと思う。 [撫子]行かないのか。 [player]うん。撫子さんって、確かそういう人がいっぱいなところ苦手だったよね。私もネットで写真を見れば満足出来るから。 [撫子]確かに苦手だけど……。 撫子さんは珍しく迷いを見せた。 [player]なんだって? [撫子]いや、忘れてくれ。それじゃ、雨が止んだら帰ろうか。ふぁ……眠くなってきた。 あくびをして、撫子さんはソファの上で目を閉じて仮眠を取り始めた。特に眠くはなかった私は、何を言いたかったんだろうと考えつつ、旅館の壁に貼られたお客さんの寄せ書きやメッセージを見た。 「一人で見た景色より、二人で歩いた道の方が美しかった」、「今度は彼女を連れて来よう。この絶景を大切な人と分かち合いたいな。」 撫子さんの方を見ると、彼女は静かに眠ったまま。そんな彼女に、「もしかして言いたかったことってこれ?」と聴きたい気持ちをぐっと抑えた。しばらくして雨が止み、私たちも旅館を出た。 [player]今度一緒に旅する時は、やっぱり計画を立ててから行こう。 そんな思いを抱きながら、撫子さんとの旅を早々に終わらせた。