到着、一飜市。
category | story | ending | Body |
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光彩協奏曲物語 | 到着、一飜市。 | 到着、一飜市。 |
[市川雛菜] あは〜〜、いーはーんし? って、どこなんだろ~? [-] ライブツアーの途中、ノクチルの四人は、飛行機に乗って次の目的地へ向かっているはずだった。しかし、いざ飛行機が着陸すると、目覚めた彼女達は全く知らない街にいることに気づいた。 [福丸小糸] な、なんでここに来たのか、全然思い出せない……。ぴゃ!? みんな、スケジュール表が……! [-] 小糸が手にしているスケジュール表には、初めて見る情報が書かれていた。 [市川雛菜] 公演地は「一飜市」、リハーサル・レッスン会場は「魂天神社」。で、ライブ会場は~……あは〜、肝心なところが何も書いてな~い。 [福丸小糸] あ、あれ……? 本当だ……って、そ、そうじゃなくて! 次の行先って、こんな名前の場所じゃなかったはず……! [樋口円香] 変なのは、スケジュール表だけじゃないかも。 [-] 円香はスマホの画面をみんなに見せた。 [樋口円香] スタッフに電話しても、誰にも繋がらない。 [福丸小糸] ぴぇ!? ど、どうしてこんなことに……? [-] 知らない街で、誰にも連絡が取れず、おまけにスケジュールも書き換えられている。不可解な状況に戸惑う中、グループの中心的存在である透が立ち上がり、スケジュール表に書かれている地名を指さした。 [浅倉透] とりあえず、行こう。ここに。 [樋口円香] ここが「魂天神社」? で、あれは何……? [-] 神社の境内に、猫耳の巫女が立っている。 四人は巫女に話しかけ、自分達の事情を説明した。 [一姫] にゃるほど、事情はわかったにゃ。安心するにゃ、魂天神社は異世界からのお客さんを受け入れる経験だけは豊富だからにゃ~。 [樋口円香] 異世界……? [福丸小糸] ね、ネコが喋ってる…… [かぐや姫] ぐひひ、気付いておらぬのか? ここは汝らがいた世界とは違う世界じゃ。 [-] 猫耳巫女の横から、もう一人の少女が話しかけてきた。 [福丸小糸] ぴゃ! ウサギも喋ってる! [かぐや姫] バカ者! 偉大な神様であるわらわをウサギ呼ばわりするとは、異世界人も所詮ただの人の子ということじゃな。良いか? わらわのことは「かぐや姫様」と呼んで敬うのじゃ! [福丸小糸] わ、わかりました……。 [市川雛菜] 神様〜? あは〜~、神様がいるなら、話が早い〜! 私達を元の世界に帰してくれませんか~? [かぐや姫] ぐひひ、礼儀をわきまえる異世界人もいるものじゃな。まあ、戻してやるのはそう難しくはない、じゃが……。 [樋口円香] ……条件があるんですか? [一姫] 一飜市でライブをやってもらう必要があるにゃ。 [福丸小糸] ど、どうしてですか? [一姫] スケジュール表に書いてるからにゃ! きっとそれが元の世界に戻る方法にゃ! [樋口円香] はぁ…… [市川雛菜] やは〜! ライブするの? やった~! [福丸小糸] でも……異世界の、知らない街でライブをやるなんて、どうすれば…… [福丸小糸] ステージで歌ったり踊ったりは出来るかもしれないけど、今まで裏方のお仕事はスタッフさん達がやってくれていたし……。それに、会場も……。 [樋口円香] …… [浅倉透] …… [市川雛菜] …… [???] わ~お、新顔がいっぱい! かわいい新雀士たちが来たのかな? [-] 沈黙が流れたその時、神社の門からピンク色の髪の少女が顔を覗かせた。 [一姫] 佳奈ちゃんにゃ! プロの現役アイドルが来たにゃ! [藤田佳奈] シーッ、あんまり大きな声出さないで~~! 麻雀しに抜け出して来たこと、マネージャーさんにバレたら大変だから~! [一姫] にゃにゃ、頭がクラクラするにゃ……。どら焼きが空を飛び回ってるにゃ……。 [樋口円香] ……確かにアイドルの方のようですね。 佳奈に揺さぶられている一姫を救出し、みんなで佳奈に事情を説明した。 [藤田佳奈] ふむふむ、なるほど。そういうことなら、佳奈ちゃんに任せてよ! [-] 佳奈はスマホを一通り操作し、しばらくして詳細なシートをみんなに見せた。 [藤田佳奈] はい! このシートを見ながら準備すれば大丈夫だよ! 後でみんなのスマホに送るから、連絡先教えて。 [福丸小糸] ぴぇ……「会場選び指南」、「ライブ宣伝ガイドブック」、「音響設備準備案」、「おすすめメイク&ヘアスタイル」まで……本当にライブをやるための資料集ですね。 さ、さすが一飜市の現役アイドル、すごいです……! [藤田佳奈] えへへ、これくらい余裕だよ。ミアと茜にマネージャーさんの資料を横流ししてもらっただけだから……はは……。とりあえず、私達で、これを見ながらライブの準備をして行こう! [浅倉透] 「私達」? [藤田佳奈] 同じアイドル同士、助け合うのは当たり前でしょ? この藤田佳奈ちゃんが、みんなの異世界の旅のガイド役を務めちゃうよ! [福丸小糸] 本当にありがとうございます! [樋口円香] 急いだほうが良さそうだし、とりあえず手分けして進めよう。 [-] ノクチルの四人は、じゃんけんで二人組に分かれた。 [浅倉透] じゃあ……、私と雛菜は藤田さんと一緒に会場の確保。宣伝と音響設備は、樋口と小糸ちゃんに任せた。 [福丸小糸] うん! [-] 一姫とかぐや姫に別れを告げ、五人は神社を出てライブの準備に取り掛かった。 [かぐや姫] ぐひひ、全く単純な子らじゃのう。帰れなかった時のことを一切考えておらぬようじゃ。 [一姫] 一生懸命頑張れば、きっと上手くいくにゃ! [かぐや姫] ならば、楽しみにしておくとするかの。 |