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私は気が短いんだ、ここで我慢したら、今度四人麻雀で二十回ラス引いたとしても雀卓返しする度胸も出なくなっちゃう!
という訳で、私はバイクに背筋を正して座り、穏やかに、落ち着いて、冷静に、自信たっぷりに玖辻に話しかけた。
[player]止まらないで、続けてください。
[玖辻]いいねェ、旦那。そういうことならあそこに連れて行ってやろうか、アンタにとっちゃ市街地は狭すぎるみてぇだしよ。
行先を聞く間もなく、玖辻はアクセル全開で走り出した。耳元で強風がうなりをあげ、喉から漏れた驚きの叫び声に返事が返ってくることもなく、吹きすさぶ風に埋もれていった。
ガタついた道ではなかったものの、速度が速すぎるせいで風はとても強い。周囲の景色だけでなく、他の走行中の車もみるみるうちに遠ざかっていった。法律を遵守し命を大切にする善良な一般市民である私は、このスピード違反行為を制止することにした。
[player]はやすぎますよー!
[玖辻]風が強くてー、聞こえねーなー!
[player]だーかーらー、はーやーすーぎーまーすーってー!
[玖辻]だーかーらー、かーぜーがーつーよーくーてー、聞ーこーえーねーえー!!
猛スピードで運転している人を止める術はない。こんなルールもへったくれもない運転をしていたら、親が泣くぞ。
バイクが停まった時、強風に吹かれ続けたせいか感覚が麻痺しているような感じがした。ヘルメットを外すと、外気の感触に微妙に違和感があった。
玖辻は得意げに私を見て、バイクのハンドルを叩いた。言葉はなかったが、私を挑発しているのだと分かった。
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