[選択肢]
・A-37を励まして配達に行かせる。
・私が届けにいく。
[プレイヤー]これ、そんなに遠くないし私が届けてくるよ。店内はよろしくね。
[-]A-37は珍しく躊躇したのち、おとなしく頭を縦に振った。
[A-37]わかった、頼む。気を付けて行ってきてくれ。
[-]出発しようとしたところ、A-37が何か伝え忘れたのか後を追いかけてきてこう言った。
[A-37]あのエリアは色々物騒だ。任務完了後はすぐ帰ってこい。長居は無用だ。
[-]A-37のやけに真面目な顔が、はじめて自分一人で隣の町へ出かけた時に私を送り出した両親を思い出させた。これはちゃんと早めに届けて証明しなきゃだな。私はこれでも長年一飜市で暮らしている者なんで。
[-]蓮清花園は繁華街のすぐ隣に位置するエリアだが、緑地に囲まれた高級住宅街。その分騒音から隔離された陸の孤島のように、中心部に入っていけばいくほど静かな街になっている。
[-]ここら辺は庭付き一軒家が一般的で隣同士も緑地によって隔てられているので、番地はすごくわかりやすい。表札と伝票に書いてある住所を確認しながらしばらく進むと、目的地に到着した。
[プレイヤー]Cの1、Cの2……っと、ここか。
[-]インターホンを押してみた。普段聞きなれた「ピンポン」という音とは違い、銅の鈴のような澄みわたった音がチリーンと鳴った。家の主はすでに到着を待っていたようで、すぐさま目の前の透かし彫りの金属製のドアが開く。そこには高級なスーツを身にまとい、銀色の髪をした中年の紳士がいた。
[???]おや、どちら様で……?
[-]レシートを見ながら、サターン……外国人の名前だなぁと思いつつ、とりあえず確認してみた。
[プレイヤー]サターンさんでよろしいでしょうか。
[???]ああ。サターンと申す者だが……君は?
[-]物腰は柔らかいが、なんとなく不審者を見るような目で見られているような気がした。そういえばと自分の今の服装を見た。さっき出発する前に、酷暑の中店の制服で外を歩くのはしんどいからって、制服より薄着な私服に着替えたんだった。店員だとわからないのも無理はない。
[プレイヤー]失礼いたしました。「エテルニテ」です。ご注文の品をお届けにまいりました。ごゆっくりお楽しみください。
[-]そうかそうかとサターンさんは小包を受け取り、中身を確認して満足そうにお礼を述べた。
[サターン]そういえば、この前はもっと身長の高い色黒の若者が配達を担当していたと思うのだが、今日は出勤されていないのだろうか?
[-]A-37のことは認知しているというわけか。A-37の今日の反応を見るに、以前の配達で何か不愉快なことでもあったのかな。ここはすこし援護してあげるべきだと思った。
[プレイヤー]おかげさまで今日は出前の注文が多くて、彼も別のエリアに行ってるんです。
[サターン]ははっ、なるほど。さすがネット上でも有名な喫茶店。私のような、暑さに耐えられなくても「エテルニテ」の絶品ドリンクが欲しい者も少なくないわけだ。
[プレイヤー]違いのわかる皆様に認めていただけることは、私たちにとっても光栄です。
[サターン]フフ、君のような店員も「エテルニテ」の成功の秘密のようだな。もしよければ、君と共にこの甘露を分かち合う喜びを願っても?
[プレイヤー]お客様、それはちょっと……。
[-]私の躊躇に気づいたかのように、サターンさんの顔にもちょっぴりすまなさそうな表情が浮かんだ。
[サターン]すまないすまない、嬉しいあまりに不躾なお願いを口にしてしまった。どうかご容赦を。あぁ、でももちろん、このおいしいオレンジソーダを君と分け合いたいとい
う思いに嘘偽りはないとも。よかったらぜひ。
[サターン]元々は別に客を招いていたんだが、急用でこれなくなってしまってな……。せっかくオレンジソーダによく合うちょっとしたスイーツも用意してあるのに、私一人じゃとてもじゃないが全部いただくことが難しくてね。捨てるのももったいないだろう。
[サターン]店員さんがもしこの後忙しくなければ、一杯お付き合いいただけると私も助かるんだが。
[-]えぇ……何この急な誘い……。
[選択肢]
・お誘いを断る
・お誘いを受け入れる
categoryStory:
ending:
choices: