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もう少し強く引っ張る

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[-] 苑さんの怨むような視線を受けながら、改めて彼女の髪を引っ張った。元宵さんは、まるで自分がそうされているかのように頭を押さえ、同情したような顔で苑さんを見ていた。
[元宵] お人好し君、なにもそんなに引っ張らなくても……。
[苑] 「何をするんだ!(#`Д´)」
[-] さすがにこれで終わりにしようと思いながら、もう一回引っ張ろうとしたその時、微かに「ビリビリッ」という音が聞こえた。私達三人は、しんと静まり返ってしまった。
[player] 元宵さん……今の音、聞こえました?
[元宵] もしかして、巫覡さまの髪の毛が怒りの声をあげたんじゃ……
[-] 突然、「バリッ」という音が元宵さんの言葉をぶった切った。
[元宵] わ~~~~!!!{var:Shake}
[-] 「苑さん」の顔が中央から裂け、深い亀裂が額から顎の先へ、ゆっくりと広がっていった……
[player] おわ~~~~っ!!!{var:ShakeScene}
[-] 元宵さんと揃ってトランクケースを守りながら後退した。そこには、とても信じられない光景が広がっていた。
[-] 顔が中央から裂けた「苑さん」は一歩ずつこちらに近づき、生気のない目で私たちを見つめていた。口元には不気味な笑みが浮かんでいる。
[-] 彼女がゆっくりと差し出してきたスマホの画面を見ると、明滅する深い紺色の背景に白い文字列が表示されていた。
「茶葉を渡せ」
[元宵] お化けもお茶を嗜むの!? もう、非名さんってば、どんなお茶を持たせたんだよぉ!
[-] こんなお化けには、当然ながら茶葉を渡すことなんて出来ない。どうやってこの場を切り抜けようかと必死に考えていると、「苑さん」の顔がさらに裂け、その中から見覚えのある顔が現れた。
[player] ……ノアさん?
[???] 旦那よォ、あんた、なんつーか……。
[-] 声がした方を見ると、玖辻がすぐ近くのコンビニから出てきたところだった。玖辻はノアさんに近づくと、ノアさんの頭から変装用の特殊メイクの皮膚をすっかり取り去った。
[元宵] 髪と皮が一体化してる、だからあんなに頑丈だったんだ……まるで本物みたい。
[玖辻] まさか、あの有名な巫覡サマ相手でも遠慮なしとは思わなかったぜ。んじゃ、あんたの調査書にゃ「血も涙もない」って書いとくわ。
[player] 勝手に変な設定追加しないで、というか私の調査書なんて作らないでよ……。
[玖辻] それは出来ねェ相談だ。旦那に関する情報は何でも高値で売れんだよ、俺はその価値をしっかり保証しなきゃなんねェからな。
[玖辻] ま、ンな余談は置いといて、ここは一つ取引といかねぇか?
[player] ……何が望み?
[玖辻] 情報一件につき、茶葉一箱で交換だ。どうだ?