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サターン お誘いを受け入れる

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[選択肢]
・お誘いを断る
・お誘いを受け入れる
[-]サターンさんの誠実なお誘いにノーとは言いにくいし、それに、A-37との間にあったことも気になるし、ここでお誘いを受けたら聞けるんじゃないか。
[プレイヤー]では、恐縮ですがお言葉に甘えて……。
[サターン]とんでもない。こちらこそありがとう、今日は素敵なティータイムになりそうだ。
[-]サターンさんに案内されながら家の中へ、そして浮き彫りが施された柱が並ぶ廊下を抜け、裏手のフラワーガーデンに到着した。サターンさんが言ってた通り、テーブルの上にはたくさんのスイーツが用意されていた。
[-]腰を下ろしたサターンさんは保冷性のある梱包を再度開き、キンキンに冷やされたソーダを取り出すと、そのうちの1本を私にくれた。
[サターン]こんなことになると分かっていたら、いい紅茶かワインを用意すべきだった。だが、このソーダでなければ君にも出会わなかっただろう。人生とは不思議なものだな。
[プレイヤー]こちらのソーダも「エテルニテ」の自信作なので、おいしさは保証します。
[プレイヤー]しかし、恐れ入りますがどうしても気になることがありまして……。「エテルニテ」の売りはどちらと言えばコーヒー類なんですが、オレンジソーダをわざわざデリバリーで注文してくださるお客様はどうしても珍しくて。サターンさんはオレンジソーダがお好きなんですか?
[-]サターンさんからすぐに答えは返ってこなかった。開けた瓶の中で湧き上がる小さい泡たちを目を細めて見つめながら、しばらく黙り込んでいた。
[サターン]実家は寒い地域で、オレンジもなければサイダーもないところだったもので……まぁ、なんというか、ここに来てからは物珍しさでよく飲んでいるんだ。
[-]オレンジがないようなところもあるのか。そういえばどっかの本で「江南の橘、江北の枳となる」って読んだことがある。ってことはサターンさんの故郷は相当北の方なんだろうな。
[プレイヤー]でしたらサターンさんが一飜市にお住まいになったのはお仕事で?
[サターン]ハハ。まぁ、そうだな。昔からここいらにはよく商売のために来ているし、時々長期滞在する必要もあるものでね。どうせならとこの家を買ったんだ。
[サターン]閑静な場所だと思ってここに決めたが、静かすぎて面白味が一切なくてね。だからよく客を招いたりしてるよ。
[-]話してみると、サターンさんは第一印象よりももっと優しい方で、あれこれ話していると時間がすぐ過ぎていってしまった。サイダーを飲み切ったところで、ハッと気づく。まだバイト中なのにずいぶんと長い時間お邪魔してしまった。慌ててサターンさんに説明したら、サターンさんもわかってくれて、私を門の前まで見送ろうと席を立った。
[-]その時、サターンさんが手にしていたソーダのカップの中身がそんなに減っていないことに気付いた。常温で長いことそのままにされていたせいか、それともサターンさんの手の温度のせいか、カップの中にはもう泡が湧いていなかった。たぶん今飲んでもただのぬるいオレンジ水でそんなにおいしくないだろうなぁ。
[-]ぬるいオレンジ水にクレームが来ませんようにと祈りながら、帰り道を急いだ。
[-]忙しい一日ももうすぐ終わりだ。出前の配達も結構新鮮で面白いという新たな発見もあった。今後も今日みたいな近所への配達があったら、A-37のためにも行ってあげようかな。