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そうだ、この気概だ! 玖辻なんかに構うものか!

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事務所で彼のくだらない話を半日以上聞いたのも無駄ではなかった。私は玖辻の性格を大体把握した。一言で言うと、彼は他人の苦痛を何よりの快楽だと思うような人間だ。
彼に構わず、私は地下鉄に向かって歩き続けた。背後から彼のよく通る声が聞こえてくる。
[玖辻]旦那、だいぶ良い感じだなァ。これで明日も安心出来そうだ。
[玖辻]じゃあ旦那の成功を祈って……あぁ、そうだ。もし上手くやれたら、アンタに「ストリクス」の仕事を振ってやってもいいぞ。
後ろから聞こえてくる笑い声で、彼が楽しんでいるのを感じた。明日の任務かぁ、本当に上手くいくといいけど。
「ストリクス」を出て帰宅し、ネットで「幾度春」に関する資料を探した。そこは四貴人の一人である東城玄音がいる高級置屋で、披露される歌や踊りはどれも素晴らしく、中でも優れた芸妓達は大金を積んでもなかなか会えないという。
特に責任者である東城玄音はもう何年も三味線を演奏していないが、かつてその音色を聞いた者は皆しばらく余韻に浸って抜け出せないほどだったらしい。残念ながら今はもう聞くことが出来ないようだ。
コメント欄にあった一件のコメントが目についた。「『幾度春』で東城玄音に会うチャンスを伺うより、彼女が持っている麻雀会館に行った方がいい。彼女に麻雀のテクニックを指導してもらえるかも」
あるアイデアが浮かんだ。明日、正しい切り花を問題なく競り落とすことが出来なかったら、麻雀会館に行ってみよう。
いずれにせよ、私は麻雀が大好きなのだ、心からね。