[八木唯] ……うん。大好きだった。
[player] ……ごめん。つらいこと思い出させちゃった?
[八木唯] ううん、大丈夫。二人がいなくなったこと、もう乗り越えてるから。
[player] ……そっか。強いな、唯は。
[player] ご両親はどんな人だったの?
[八木唯] 前にも言った通り、二人とも研究者だった。同じ研究室で出会ったみたい。
[player] お父さんは無口で、あまり笑わない人だった。//nでも本当はすごく優しくて、たまに変なことを喋ってみんなを笑わせてた。
[player] ……唯はお父さん似なのかな
[八木唯] お母さんは社交的で、友達も多かった。//nいつも楽しそうに笑ってて、家事を手伝うと頭を撫でてくれて……
[player] 何ていうか、真逆な二人だな。
[player] だからこそ、相性がよかったのかも。
[八木唯] ……うん。そうかもね。
ストローに口をつけたまま、唯がこちらをじっと見つめていた。
顔に何かついてるのかな、と思って触ってみるけど、特に異常はないみたいだ。
[player] ……どうしたの?
[八木唯] ううん。何でもない。
よくわかんない子だ。でも、いつになく楽しそうなのは間違いない。
川沿いの散歩道
[-] 「エテルニテ」を出ると、二人で散歩を再開した。//nカフェから歩いて十分ほど経つと、川沿いにある散歩道に到着した。
吹き抜ける風が気持ちよくて、//n風邪のことなんて忘れて、いつまででも歩いていられる気がした。
[八木唯] ……先輩、顔色よくなってきた。
[player] ほんと? ……確かに、身体軽くなってきたかも。
[八木唯] コーヒーの効果、だね。
唯が一瞬だけ笑ったように見えたけど、光の加減でよくわからなかった。//n宝石みたいな川面の輝きはとても綺麗だけど、肝心なところを覆い隠してしまう。
[八木唯] ……私、たまに想像する。
[八木唯] もしも、お父さんとお母さんがまだ生きていたらって。
唯は欄干にもたれかかり、眩しそうに川面を見つめた。
[八木唯] もう大学生だから、三人で手を繋いで帰ったりはしないと思う。//n会う頻度もどんどん減っていくはず。
[八木唯] だけど、お父さんとお母さんはいくつになっても仲良しで、//nこんな川沿いを楽しそうに話しながら散歩してる。
[八木唯] 家に帰ったらコーヒーを淹れて、今日起きたことを一つずつ振り返ったりする。
[八木唯] 私は、二人の話を聞いているだけでいい。
[八木唯] ……それだけで、すごく楽しいんだと思う。
[八木唯] ……先輩。
唯はこちらを振り向いた。
[八木唯] 私、本当は寂しかったのかな?
[八木唯] 二人が亡くなったこと、もう乗り越えたと思ってたけど……
[八木唯] 昔のことを思い出したら、何ていうか……。//nこれじゃ駄目なのはわかってるのに……
[player] 駄目なんかじゃないと思うよ。
[八木唯] え?
[player] 急いで乗り越える必要なんてない。//nたまには立ち止まって、ゆっくり二人のことを思い出したらいいんだ。
[player] ……って、私が軽々しく言える話じゃないかもしれないけど。
[八木唯] ……ううん。ありがとう。
唯の隣に歩き、欄干に身体を預ける。
そろそろ太陽が傾き始めていた。夕陽を浴びた水面が、輝きをさらに強めている。
[八木唯] ……お父さんとお母さん、「パラレルワールド」について研究してた。
[player] パラレルワールド……? 何それ。
[八木唯] ……よくわからない。あんまり教えてくれなかったから。
[player] 私たちのいる世界と違う世界とか、そういう感じ……?
[player] なんかSFみたい。本当にそんなのあるのかな?
[八木唯] わからない。
[八木唯] ……先輩。もし別の世界があったら、行ってみたいと思う?
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