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[player]「Soul」、今日も休演かぁ。

jyanshi: 
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[player]「Soul」、今日も休演かぁ。
「Soul」は休演状態がしばらく続いている。今日はワン次郎と買い出しに来ており、静まり返ったテントの前を通り過ぎた。
先日スタッフさんから、数日だけ休演するという話を聞いてはいた。しばらくサラさんのダンスが見られなくて寂しいけど、彼女はいつも忙しいから、まとまったお休みも必要だろう……と思った。
[ワン次郎]それにしても、こんな長く休演するなんて珍しいワン。移動式サーカスってことだし、もしかしたら次の移動のため準備してるんじゃないか?
[player]次の移動か……
その可能性もなくはない。というか、いつかは絶対その日が来る。ファンとしては心の準備をしておかなければ。
でも…。
[player]やだ……。そんなこと絶対やだー!
[ワン次郎]ど、どうしたワン。
[player]サラさんがいきなりいなくなるなんて、せめて全てのダンスをあと百回くらい披露してもらってから……!
[ワン次郎]お、落ち着けよ。適当に言っただけワン。
[ワン次郎]クンクン、この匂い……? おい、PLAYER! あれサラじゃねーか?
ワン次郎が指差した先、サラさんが小さい女の子と手を繋いで、フライドチキン屋から出てきた。肩には猫のミーちゃんも乗っている。
[player]あの子は……サラさんの妹さん?
[ワン次郎]そうじゃないか? 顔が似てるし、年の差的にもそうだろうワン。
挨拶しようとしたら、ミーちゃんが先にこっちに気付いてニャーと鳴いた。それでサラさんも私たちに気付き、笑顔で歩いてきた。
[サラ]あら、すごい偶然ね~。こんにちは。
[ワン次郎]久しぶりワン。
[player]お久しぶりです、休みはどう?
[サラ]ゆっくりできてるわ~。こんなにゆっくり過ごせたのはいつぶりかしら。
[女の子]お姉ちゃん、この二人は?
お姉ちゃんって呼んでる、やっぱりこの子はサラさんの妹さんなんだ。
女の子はサラさんの後ろで縮こまりながら、少し怯えたような、しかし好奇心に満ちた眼差しでワン次郎のことを見ている。
[サラ]二人はお姉ちゃんのお友達で、とってもいい人達なのよ~。ご挨拶出来るかしら、リリアちゃん。
[player]こんにちは、PLAYERです。サラお姉さんのファンです。
[ワン次郎]俺様は偉大なるワン次郎だワン。
[リリア]PLAYERさんと、ワン次郎さん……。こんにちは。お姉ちゃん、ワン次郎さんって、いだい……えっと、えらいの?
[サラ]ええ、えらいわよ。
[player]えらいらしいよ、ワン次郎。
[ワン次郎]何度も復唱するなワン……。
[player]お二人はお散歩ですか? もしかしてお邪魔しちゃいました?
[サラ]まさか、ちょうどいいところに来てくれたわ~。
[サラ]新衣装のための材料を買いに来たのだけれど、ついついフライドチキン屋さんに入っちゃってね~。
[サラ]あなた、私より一飜市に長く住んでるでしょう。もしおすすめのお店とかあったら教えていただけないかしら?
「私より」、ね。
「Soul」は一飜市に来てどれくらい経っただろう。結構長い気がするけど、サラさんはこの街をちゃんと歩いたことがあったんだろうか。もしかしたらたまに神社に来る以外は、ずっとサーカスで忙しかったのかもしれない。そう思うと、ファンとしても友達としてもぜひ力になりたいと思った。
[player]このあとちょうど暇なので、荷物を神社に置いたらすぐ合流しますよ。
[ワン次郎]これくらい俺様一人で運べるぞ。PLAYERは気にせず行けワン。
そう言ってワン次郎は私から袋を取り、ひらひらと手を振った。
[player]ありがとう。終わったら美味しいご飯買って神社に持っていく。
[ワン次郎]一姫の分もな。じゃねーとあいつうるさいワン。
[player]もちろん!
[リリア]……わ、ワン次郎さん! ちょっと、おてて、触ってもいい……ですか?
[ワン次郎]よかろう。好きに触るがいいワン。
リリアちゃんはワン次郎の手を握り、肉球をしばらくふかふかすると、満足そうにワン次郎にお別れの挨拶をした。
[リリア]ワン次郎さん、バイバイ!
[ワン次郎]今度神社に遊びに来いワン。
[player]じゃあ行きましょうか。近い所から見て回りますか? それとも行きたい所があります?
[サラ]あなたが案内してくれるならどこでもいいわよ~。
[player]なら……うーん。