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修理は任せて、撫子さんを応援しよう。

jyanshi: 
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さすがに修理の手伝いは素人じゃ出来ないだろうし、他に出来ることを探そう。 バックパックにある折りたたみ傘を開き、撫子さんの日除けを作った。 突然暗くなったからか、撫子さんはバイクから私の方に注意を向けた。 [player]ごめん、邪魔だったかな。こうした方が涼しいかなって。 [撫子]ちょっと細部が見辛くなったな。 撫子さんは掌の上の小さなパーツを見せてくれた。確かに日陰の中では見にくい。 [player]ごめんごめん、すぐどかすよ。 と言って、傘をどかした。撫子さんは修理の手を止めて、感動した表情でこちらを見つめてくる。 [撫子]ありがとう……。この身長だからさ、誰かに傘を差してもらうなんていつぶりかって感じで……。さっき、ほんの一瞬だけ、あの時の気持ちを思い出した気がするよ。 [player]ん? その言い方に、こっちまでドキドキさせられる。あの時の気持ちって、まさか……? [撫子]ガキの頃、お袋に守られてた時の安心感……もう一度体験させてくれてありがとね、PLAYER。 [player]……? [player]そ、それはよかった。 何を期待したんだ自分……! [撫子]ん、やる気が出た。もうちょっと休憩しながら待っててくれ、ちゃちゃっと終わらせるから。 [player]うん。頑張って。 実質的には何も出来なかったけど、修理中ずっと撫子さんが楽しそうだったからいいか。 撫子さんの修理が終わり、バイクが元気に復活した。 [ライダー]本当にありがとうございます……! 僕こう見えてズブの素人でして、お二人に会えなかったら今日は押して帰る羽目になるところでした……! [撫子]バイク乗りはお互い助け合うものさ、気にすんな。 [ライダー]なんとお優しい……これ、僕の連絡先です。今後何かあったら、微力ながらお助けしますのでぜひお呼びください。 [撫子]それなんだけどさ…… [ライダー]? 撫子さんは私たちが探している目的地についてライダーくんに尋ねた。しかし、彼は頭を掻いて、いかにも知らないといった表情を見せた。 [ライダー]申し訳ない。このあたりは初めてで、チャレンジし甲斐のあるロードだと聞いて来ただけなんです……。 [撫子]そっか。 [ライダー]お力になれずすみません……。 [撫子]いいさ。もう少し先の方へ行って探してみるよ。 [ライダー]え、この先ですか? [撫子]そうだけど……。 そういうつもりではないと思うが、撫子さんが真面目な顔をすると、元から凛々しい顔立ちが更に鋭くなる気がする。 [ライダー]い、いえ。この先はもっと走りにくくて、事故も多発してるって聞いたので……。 [撫子]そうか、ありがとう。 ライダーは私達に別れを告げて、来た道を戻って行った。 撫子さんは私の方を向いて、この先に行くかどうかを目で問いかけてきた。 目的地の手がかりはないし、この先はより危険になるらしい。この状況、私の選択は……。