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人はみな、三つの悩み事を抱えながら生きている

jyanshi: 
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人はみな、三つの悩み事を抱えながら生きている。朝ごはんは何にするか、昼ごはんは何にするか、そして、晩ごはんは何にするか……。//n至極真剣に今晩の献立を決めようとしていたその時、二階堂さんから電話が来た。 [二階堂美樹]いつも頑張ってくれてるから、今日は私が腕によりをかけて晩ごはんを用意してあ・げ・る! うふふ、期待していてちょうだいね。 二階堂さんとの付き合いも結構長くなったけど、手料理をいただけるのはこれがはじめてだ。ましてや私が小一時間悩みに悩んでいた夕食の問題も解決してくれるとは! これはさすがに期待して天和閣に向かわなければ。 天和閣 [???]にゃー! 天和閣の入り口前でなぜかすごく慌てている一姫に出くわした。一姫は私を見るなり、はっ! と焦りながら叫んだ。 [一姫]ご主人!早く逃げるにゃ! 言い終わるや否や、一姫は一目散に逃げて行った。 [player]一姫ー!? 詳しく聞こうと呼びかけたが、私の呼ぶ声を聞いた一姫は、振り返るどころかさらにスピードを上げて、一瞬にして視界から姿を消した。なんなんだろ...…。何か悪いことでもして、二階堂さんにバレたのか? [二階堂美樹]あら、意外に早かったわね。晩ごはんの支度はまだ終わってないのに……。どうしようかしら。 一姫に気を取られている間に店から出て来て挨拶まで済ませた二階堂さんは、どうしようといいながらも悩んでいる様子が微塵も見えない。 エプロンをした二階堂さん、はじめて見たなぁ……と考えながら、目の前のこの人を改めてよく見てみた。普段のセクシーさに加え、家庭的な雰囲気も感じられてとても優美で素敵だ。 [player]なら私も手伝おうか? [二階堂美樹]結構よ。まさか、わたしの料理の腕がそんなに信用できないっていうの? 知り合ってから随分経っているので、この人のこういった尖った部分にも、私なりに免疫がついてきている。 [player]二階堂さんのことはいつも信頼してるよ。 [二階堂美樹]あら、そんなこと言って……。少しだけ、ご褒美をあげちゃおうかしら? そう言いながら段々近づいてくる二階堂さん。そのきれいな目に映る自分の顔がどんどん大きくなる。さては新手のからかいだな、と思った私は、一歩下がって彼女の「ご褒美」を断った。 [player]い、いや、遠慮しとくよ。 [二階堂美樹]あらそう? せっかくいいクッキー買ってきておいたのに。あなたが好きだと思って……。 彼女の後ろについて店に入ると、客室のテーブルの上には確かにクッキーの缶が置いてあった。 [player]本当にクッキーだ……。 [二階堂美樹]ん? [player]いや、なんでも。 あっぶな。つい心の声が漏れてしまった。早く話題を変えなきゃ……。 [player]二階堂さんは今夜なんの料理を作ってくれるの? [二階堂美樹]そうそう、それについてちょうど聞きたかったの。 [player]え?なんでしょか……? [二階堂美樹]なに、簡単なことよ。ちょっと食事の好みを聞かせてちょうだい。例えばそうね……玉子焼きに砂糖は入れる派?