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スポーツバーへ

jyanshi: 
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友人のアドバイスより頼れるものはない、私はスポーツバーへ足を運んだ。
[バーのオーナ]はいはい、なんですかー! もうちょっと大きな声でお願いしまーす!
大胆かつアバンギャルドな内装の店内、プロジェクターから壁一面に投影されたバイクレースが映し出されている。その壁の手前はレースを見ながら酒と料理を楽しむスペースで、奥側の広いスペースではビリヤードや卓球などを楽しめる。
試合の実況解説や観客の歓声と、奥から響く球技の音が合わさって、店内に現代的なハーモニーを轟かせていた。
カウンターの前で私は撫子さんの画像を呼び出し、今回来た理由をもう一度オーナーに説明した。写真を見て、オーナーはやっと注意をレースの模様から私に向けた。
[バーのオーナ]つまりお客さんは撫子さんのお友達? それなら、スケジュールが知りたいなら直接本人に聞けばいいんじゃ? そんな見え見えな嘘はやめてよね、撫子さんの連絡先を知りたい人、今まで何人いたと思う? 俺は客のプライベートをバラすような店主じゃないからな。
[player]ご、誤解です! オーナーさんに聞きに来たのも事情があって……。
疑われていることに動揺しながら、私はもう一度詳しい事情と、それを証明出来るチャット履歴などをオーナーに見せた。
[バーのオーナ]本当に誤解だったか、ごめんよ。お詫びになるかわからないけど、特別に教えてあげるよ。お察しの通り、撫子さんは今週末ここでバースデーパーティーを開催する。
[player]予約をしたってことですか。
オーナーさんは自信満々に言ったけど、言い方がちょっと引っかかるので確認してみる。
[バーのオーナ]いや、してないけど。
[player]?
[バーのオーナ]いやそんなに疑わないでくれよ、いいか? 先週撫子さんが来たんだけどな、いつものように飲みに来たんじゃなくて、カクテルを作るコツを聞きに来たんだよ。来週友達に作ってあげたいからってさ。
[バーのオーナ]レシピは別に特別なもんじゃないし、全部教えてあげたんだけどよ。で、実際に作らせてみたら、撫子さんさんがいつになく真剣に作ってるから聞いてみたんだよ。本当は大切な人に作るんじゃないかって。そしたらなんて答えたと思う? あのクールな撫子さんがまさかの恥ずかしくて聞こえてないふりだ! こりゃ大当たりじゃないか? わはははは!
オーナーが腰に手を当てて高笑いしてるけど、それは多分教習の時と同じ、集中しすぎてて本当に聞こえてないパターンだ。
[player]それは多分恥ずかしがってるんじゃなくて、カクテル作りに集中しすぎて本当に聞こえてなかったんだと思いますよ。
[バーのオーナ]そんな! そうだったのか!
[player]多分ですけど……。
[バーのオーナ]むむ……。でも、俺の判断は合ってると思う。週末までに結構な量のお酒を用意してほしいって言われたし? これは絶対にパーティーの準備でしょ。ってなわけで、早速サプライズの用意をするんだな若者よ。俺が全力で手伝ってやるから。
[player]それは、どうもありがとうございます……。
……ということは、撫子さんが選んだパーティー会場はここで確定か?