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「目安箱」の記録

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朝葉高校で最も親切な生徒として知られる白石奈々は、誰かの頼みを拒んだことは一度もない。とはいえ、忙しさのあまり、助けが必要な人のもとに向かえないこともままある。
奈々は、「ヒーローは困った人を見過ごすなんてしないんだ!」という信念のもと、生徒達の頼み事を把握しやすくするために、教室の外の壁に「目安箱 by 奈々」と大きな字で書かれた木箱を架けた。
奈々は、時間がある時には過去にやった頼まれ事の記録を見返して、改善できることはないか確認することにしていた。大抵の依頼は、自分あるいは交流のある誰かの力をもってすれば、解決法を見つけられた。
しかし、全ての依頼が順調に行くとは限らない。例えば、その後すぐに受けた匿名の依頼では……
依頼10:弱点克服
依頼人:匿名
依頼内容:ゆずはヘビやカエル、クモといった生き物が怖いらしいの。弱点克服に協力してあげて。
経過:ゆずちゃん、そういう生き物に出くわすと怖くて逃げ出しちゃうんだ……初めて知ったな。最初は、無理に怖いものを克服しなくていいんじゃない? って言おうと思ってた。実際ウチも犬が苦手だしね。でも、依頼人さんによると、ゆずちゃんはしょっちゅう不良グループと揉めてるんだって。もし相手がこの弱点を突いてきたら、ゆずちゃんが危ないよね。
うん、やっぱり克服する方法を考えることにしよう。
経過2:まさかあそこまで怖がるなんて。大声で「来ちゃイヤ~~~~!」って叫んで……いや、ゆずちゃんの名誉のために、今回のミッションの経過は詳しく書くのはやめとこう。とにかく、依頼は失敗だなぁ。
はぁ……最近、ゆずちゃんはウチを見ると遠くまで逃げていっちゃうし、レッパンズにも威嚇されちゃうし、何とかしてあの子たちの機嫌を取らないと。
でも、諦めないもんね! もう少し考えれば、きっと別の方法を思いつけるはず。
依頼人評価:本人に運命に立ち向かう勇気がないだけね、お気になさらず。
時には、解決したはずが実は解決出来てなかったような依頼もある……
依頼19:近況確認
依頼人:石原碓海
依頼の詳細:最近、リンが全然学校に来てなくて、電話にも出ないんだ。あいつの家に行って様子を見てきてくれない? 出席率がヤバいから、なるはやで学校に来させたくてさ。
PS:非常時には救急車を呼ぶんだよ。
経過:会長から聞いた住所を頼りにリンくんの家に行って、様子を見てきた。部屋の中は大惨事以外の何物でもなかったよ。カップ麺の容器の山で、もう何日も外に出てないことがハッキリした。
リンくんは「今抱えてる案件が片づいたら行く」って言ってたけど、明日も来なかったら、副会長が直々に家まで行くことになると思う。
話を聞いた感じだと、邪魔が入らなければ一晩で仕事が全部片づくみたい。だったら、集中出来るように、家事を手伝ってあげよう。だってウチらは、問題児リスト入りしてる仲間だもんね。
経過2:約束破られちゃったんだけど! 案件が終わったら学校に行くって言うから家事を手伝ってあげたのに、次の案件に手を付けるなんて! もう知らない! 副会長にこってり絞られちゃえ!
依頼人評価:リンからの伝言『めんど……オカンかよ……でもまぁ、正直助かった。ありがとう。』
直近の依頼人評価を見て、奈々は「失礼じゃない!? ピッチピチの女子高生になんてこと言うかな!? 今度行ったらLANケーブル引っこ抜いてやる!」と言いながら、ふくれっ面で記録ノートを閉じた。ちょうどアラームが鳴ったので、明かりを消して布団に潜り込む。「怒らない怒らない。早寝早起きして健やかな精神をキープしないと。明日はもっとたくさんの依頼がウチを待ってるんだから!」
「あっ、そういえば、ゆずちゃんの弱点克服を手伝った時、レッパンズがうっかり備品を壊しちゃったんだよなぁ。明日、副会長が話があるって言ってたけど、まさかそのことじゃないよね……」