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どうして「ストリクス」のメンバーに行かせない?

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[player]これならあなた方だけでも出来ますよね? どうして「ストリクス」のメンバーに行かせないんですか?
[玖辻]一般人使えば済むことに、なんでうちの人員を割かなきゃなんねーんだ?
[player]でも、あなた方の方が明らかに私よりも手慣れてるじゃないですか。
[玖辻]どうやらちゃんと説明しなきゃ、アンタを納得させられないらしい。
[玖辻]取引を問題なく終えたヤツは全員友達だ。俺は「Soul」と友達になりたかったが、「Soul」で例の件が起きてからは、俺が要求する報酬も払えない状態だろう。
[玖辻]皆の友情のためには、「Soul」が派遣した代表者、つまり旦那の労働力を担保にするのが最善てことよ。
玖辻の口ぶりからして、「例の件」というのが現在「Soul」が経済的に困窮している主な原因なのだろう。前にヒーリさんから、元メンバーのクラウンが若手メンバー達とともに「Soul」から去ったと聞いたことがある。
同じことを指しているかは、まだはっきりとはわからない……この件についてはまだまだ知らないことが多いから。
[player]例の件って、具体的にはどんなことなんですか?
[玖辻]チッ……アンタ、長いことあいつらを助けてやってんのに、なんも聞いてねぇのか?
[玖辻]でもま、時には知らない方が幸せなこともあるわな。知り過ぎると頼みを断りにくくなるしよ。アンタならわかんだろ?
[player]まあ……
ゲームで誰かと出会ったの時のようだ。NPCはまず報酬でプレイヤーを釣って手伝わせる。たとえそれが十歩移動して伝言を伝えるだけのクエストでも、高価な報酬がもらえる。
だが首を突っ込むことが増えていくと、NPCは「もう知ってるのなら、ちょっと行ってきて」とか「ここまで来たらあなたも当事者のようなものだし、協力しよう」としか言わなくなるのだ……
3、四時間かけて一連の任務をこなしても、与えられる報酬はガチャ一回分にすら満たない。結局欲しいキャラクターを手に入れるためには課金するしか……おっと、話が逸れた。私は考えるのをやめ、出来る限り誠実そうな顔を作って玖辻の方を見た。
[player]今からでも、教えるのには遅くないですよ。
[玖辻]おっと旦那、それは追加料金がかかるぜ。
やっぱり情報屋の口から情報を聞き出すには、誠実さをあてにしても無駄だった。
[玖辻]実際、何も知らないのに進んで使われようとするなんてな。アンタ、黙って利用されるようなヤツでもないだろ。
「Soul」は私を売ったりしないだろうが、「ストリクス」は分からない。私はうつむいて手の中のブラックカードに視線を落とし、再び彼を見た。
[玖辻]チッ、まさか俺を疑ってンのか? 全く……今のところそんなつもりはねぇから安心しろ。アンタにどれほどの価値があんのか、まだ分かんねェからな。
[玖辻]そんじゃこうしよう、旦那は頑張って任務を遂行して、自分の価値を証明する。そしたら、俺だって旦那の価値をちゃんと見積もってやれる。どうだ?
玖辻と話していると、本気で低血圧が簡単に治りそうな気がしてくる。私は今日何度目か分からないため息をついて、話を本題に戻すことにした。
[player]それはともかく、このカードの暗証番号を教えてくれますか?
[玖辻]おう、「kutsujichouikemen」だ。