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電柱の向こう側を調べる

雀士: 
categoryStory: 

電柱の裏はストーカーの定番の隠れ場所だ。まずはそこを確認しよう!
左右を見比べた結果、やっぱり私たちが来た方角、つまり右側の電柱の方が怪しいと見た。
[player]そこだな、大人しく捕まれ!
自信満々で電柱の後ろに猛ダッシュする、が……誰もいない、だと!?
[player]ここじゃなかったか……ん!?
その時背後から音がして、慌てて振り返ったが時すでに遅し。人影らしきものはもう遠くへ消えてしまった。
[player]ま、待てー!
[二之宮花]ストーカーがいたんですか?
[player]何で出てきちゃってるの!?
[二之宮花]喧嘩になったら大変だと思って、心配で様子を見に来ました。逃げられてしまったようですね。
[player]ごめん、取り逃がしたよ。
[player]でも大丈夫、知り合いだってわかったし、物証も掴んである。この証拠を手に、明日本人に直談判するよ。
[二之宮花]そうですね。さすがに今日はもうつけて来ないでしょうし、PLAYERさんももうここで待ち伏せしなくてもいいですよね。一緒に麻雀しましょう。
[player]うん、そうだね。
翌日、例のストーカーと話をつけるべく、レストラン付近で拾ったクナイを持って、二之宮さんと朝葉学校へ向かった。
[嵐星]気が急いていたもので、まさかこのような痕跡を残してしまうとは……一生の不覚でござる。
昨晩、クナイに入っていた家紋を見て、嵐星に電話をかけた。すると、彼女はあっさりと二之宮さんの後をつけていたと認めた。今日はその理由を問い質すつもりだ。
[二之宮花]私の後をつけてたのは、嵐星さんだったんですか?
ストーカーの正体が自分の後輩だとわかり、少しホッとした様子の二之宮さん。しかし、まだ聞くべきことは残っている。
[player]何で二之宮さんをストーカーしたの?
[嵐星]お師匠は、「三人麻雀の怪」を知っておられるか?
[二之宮花]さ、三人麻雀の怪……?
[player]それって、二之宮さんが関係してる、あの?
[嵐星]そうでござる。恥ずかしながら、拙者もその逸話に登場する「被害者」が一人、二之宮先輩に完敗した者なのでござる。
[嵐星]あの日の光景、今でも目に浮かぶようでござる……
[二之宮花]つい先週ですよね?そんな昔のことみたいに言わないでくださいよ……
[嵐星]あの敗北の味を忘れたことは、あの日以来一秒たりとも無いでござる。
嵐星はクナイを握り締めた。相当悔しかったと見える。
[player]となると、二之宮さんをストーカーしてたのは、雪辱を果たすためとか?
[嵐星]否、二之宮先輩は「隠れ身の術」の名人ゆえ、今仕掛けても到底敵わぬことは心得ているでござる。
[嵐星]もしや、拙者にも先輩と同程度の「隠れ身の術」を伝授いただける……ということでござるか?
[二之宮花]「隠れ身の術」って何ですか?全然身に覚えがないのですが。
[player]訳すると、多分、あなたの「透明人間体質」のことを言ってるんだと思う。
[嵐星]体質!?つまり、先輩のソレは血族にのみ扱え得る一子相伝の秘術でござるか!?ならば、拙者が習得するのは永久に無理でござるな……。
[二之宮花]……PLAYERさん、通訳お願いします。
[player]……ごめん、私じゃ力不足みたい。
嵐星は嵐星なりに二之宮さんの特殊な体質について理解しているようだ。これ以上説明すると、事態がややこしくなりそうだから放っておこう。
[player]とにかく、修行するのはいいけど、他の人に迷惑かけちゃダメだよ。
[player]昨日電話で話したけど、二之宮さんはここ数日あなたに付けられていたせいで不安だったんだって。何か言うべきこと、あるよね?
[嵐星]本当に申し訳なかったでござる!気配を完全に消していたつもりでござったが、貴殿の慧眼欺く能わず、ご迷惑おかけしたでござる。
嵐星に頭を下げられ、二之宮さんは気まずそうにサイドの髪を耳にかけた。
[二之宮花]気にしないでください。それにしても、この真摯な謝り方……さすがPLAYERさんの弟子、真面目ですね。
[player]ふふん、いい先生がついてるからね。
[嵐星]二之宮先輩のような達人であればまだしも、お師匠にまで見破られるとは、拙者はまだまだ一人前にはほど遠いでござる。
[嵐星]二之宮家秘術の習得は難しくとも、拙者は拙者なりに尾行術を磨き、次はせめてお師匠に見破られぬ程度には成長せねば!では、修行の続きがあるので、これにて失礼でござる!
言い終わるが早いか、嵐星はドロンと姿を消した。
[player]本当に話を聞いてたのかな……次のストーカーの標的が私になったらどうしよう。
いや、少なくともしばらくは、嵐星が二之宮さんをストーカーすることはないだろうし、これにて一件落着としよう。
一件落着、なのだが……
[二之宮花]結局、私に存在感があった訳じゃなくて、この透明人間体質が珍しかっただけだったんですね……
複雑そうな表情の二之宮さん。これ以外に、かける言葉が見つからない。
[player]頑張れ、二之宮さん。