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思いきって引き受ける

jyanshi: 
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自分の推しと長く一緒にいられるチャンスを断る人間がいるだろうか? 少なくとも私は断らない。マネージャーさんが考えを改めてしまったらと心配し、もう一度問われるのを待たずに返事をした。 [player]もちろんいいですよ。是非やらせてください。 [マネージャー]ふふ、タダ働きはさせないからね。あなたも佳奈のファンってことなら……報酬は今度のライブチケットでどう? [player]何よりの報酬です!! 安心してください、佳奈ちゃんのダイエットは私がしっかり見守りますから。 [マネージャー]じゃあ、よろしくね。 これが、私が平日に佳奈ちゃんの家に駆けつけた経緯だ。なぜここまで念入りにリュックの中をチェックしたかというと、それは、ダイエット計画を順調に進めるために、ここ数日で佳奈ちゃんと繰り広げた「知恵比べ」の結果に基づいた行動に過ぎない。 自分がハイカロリーな食べ物を持っていないことを確かめてから、佳奈ちゃんの家のドアを軽くノックした。 [藤田佳奈]はいはーい、PLAYERさん、ハロー! ドアの向こうから佳奈ちゃんの嬉しそうな声が聞こえてくると同時に、色々なものをひっくり返しているかのようにガタゴトと物音も聞こえてきた。幸いドアはすぐに開き、笑顔の佳奈ちゃんが現れた。 少女の額に視線を落とす。細かい汗の雫が彼女の白くみずみずしい頬をゆっくりとすべり落ち、地面に染みを作った。溌剌としていて可愛らしい姿に、思わず汗を拭ってあげたくなる。 ステージでの完璧な姿と違って、プライベートの佳奈ちゃんはより少女らしさがある。 [player]こんにちは、佳奈ちゃん。もう運動を始めてるの? どのくらいカロリーを消費したか、ちゃんと記録した? [藤田佳奈]むう、ここは先に私の頑張りを褒めるとこでしょ? はあ、PLAYERさんがこんなに厳しいって知ってたら、あなたを推薦したりなかったのになあ。これが「身から出たサビ」ってやつなのかな…… [player]今さら後悔しても遅いよ。マネージャーさんに、少なくとも佳奈ちゃんの体重を2.5kgは減らすって約束したんだから。成功したら、私のチケットを無料でVIP席にグレードアップしてくれるんだって。 [藤田佳奈]わざわざマネージャーさんに頼らなくたって、私に言ってくれればいいのにっ。 少女は私にウインクを投げた。だが……こんな可愛い仕草をしても、私はいつものように花や拍手を捧げず、むしろ一歩後ずさって警戒した。 [藤田佳奈]ほら、もうすぐお昼の時間だよ。こんなに頑張ってるんだし、ランチメニューはちょっと変えてもいいんじゃない? 昨日は、佳奈ちゃんがこっそり炭酸飲料を飲んでいるところを見つけた。一昨日はこっそりチョコビスケット一袋を食べ、その前の日はこっそりインスタントラーメンを買おうとしていた。これらの経験から、私は彼女の提案に少しも驚かず、「やっぱり」という気持ちすら抱くようになった。 [player]例えば……野菜サラダを下のお店のハニーフライドチキンに変えるとか? [藤田佳奈]どうやら私たち、ゲームで息ぴったりなだけじゃなく、食べ物の好みも似てるみたいだね。えへへ、私調べたんだけど、デリバリーでファミリーバーレルとクリスピーチキンを頼むと一番コスパがいいみたいだよ♪ [player]いいね。ただし、それは私のランチだよ。 [player]え? [藤田佳奈]え? [player]マネージャーさんが仕事に出る前に、佳奈ちゃんの一週間分の食事を用意してくれたんだ。どれどれ、今日は……あった、マンゴーシュリンプサラダだ。 うきうきとランチについて話していた佳奈ちゃんは、それを聞いて抗議の声をあげた。彼女はうるうるとした目で私の袖を引っ張って、出てもいない涙を拭い、たちまち雪の夜のマッチ売りの少女に変身した。 [藤田佳奈]うう、二週間。私がこの二週間、どう過ごしてきたか知ってる? 毎日色んな種類のサラダを食べて、今や体中から焙煎ゴマドレッシングの匂いがするんだよ。 [藤田佳奈]午後には四時間のフィットネスレッスンもあるし、ちょっとだけお肉を食べてエネルギーをチャージしたいんだけど……これって、過ぎたお願いなのかなぁ…… [player]まぁ、理にかなっている要求の範囲のようには聞こえるけど…… [藤田佳奈]へへ、ファンさんは私のことが一番大事なんだって知ってるよ♪ ってことで、フライドチキン注文していい? この世界に、佳奈ちゃんのおねだりを拒める人間なんていない。気づいた時には、頭で考えるより早く、彼女の頼みに応える言葉が口をついて出ていた。 少女は嬉しそうにスマホを取り出し、割引中のデリバリーセットについて再び話し出した。しかし……「注文を確定する」をタップする一秒前に、責任感が私の理性を呼び起こした。 [player]ん? [藤田佳奈]ん? 信頼に溢れ、驚きと少しの不安が入り混じった佳奈ちゃんの眼差しに、私の心の中では「悪魔」と「天使」が戦いを始めた。