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このレストランだと思う。

雀士: 
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店員さんが提供してくれた手がかりもあるし、週末のパーティー会場はここで間違いないだろう。撫子さんはここで、友人である私達に手料理を振る舞う予定だ。
グループトークからみんなを呼び出し、店員さんの協力のもと、当日の装飾を決めて、撫子さんのための特別な誕生日ケーキも予約した。撫子さんの手料理を食べられると思うと、当日が待ち遠しくて仕方ない。
ところが……。
[player]……え? 今からキャンプ場?
パーティー会場へ向かってるはずなのに? 撫子さんのバイクに乗っていた私は、驚きのあまり危うく落ちる所だった。
サイドミラーの中の撫子さんは胡乱な目をした。
[撫子]嫌か? でももう遅いよ。
[player]い、いやー。まさか……。ただ、急すぎてちょっとびっくりしちゃったっていうか……。
私の声がだんだん小さくなった。レストランを予約してたのに、なぜキャンプ場……? レストランで今日のため一生懸命装飾をしたスタッフさん達と、そこで私達の登場を隠れて待っている友人たちのことを思うと、目の前の景色が少しずつ歪み始めた。
[撫子]急? あれ、あたし言わなかったっけ? ……あー、忙しくて忘れちゃってたかもしれない。
[player]忘れてたんだ……。あえて言わなかったのかと思ってた。
[撫子]何だよそれ、ただのど忘れに決まってるだろ? でも安心しな、キャンプ用のアイテムもドリンクも全部あたしが用意したから。これからドリンクを取りに行って、それからキャンプ場に行くとするか。
[player]取りに行くって、まさかこの前おすすめしてくれたあのスポーツバーへ……?
[撫子]そうだ。いや待て、どうしてわかるんだ?
撫子さんは勘づいたようで路肩に停車した。こうなったら私もすべてを打ち明けるしか無い。
[player]それはね……。
事情を撫子さんに説明した。
[撫子]ぷははは! まさかあんたまで、あいつらみたいなバカをやるとは意外だな!
[player]結局チャレンジは失敗だし、意外でも何でもないよ……。
[撫子]でも、ありがとう。せっかく予約してくれたけど、あのレストランのサービスがあたしには合わないというか……。今日はやっぱり、あたしが用意したプランのまま進めるよ。レストランに用意してもらった材料を取りに行って、ついでに店員さん達に謝ろうか。
[player]……そうだね。現時点ではそうするしかないと思う。
サプライズチャレンジは私たちの敗北で幕を閉じた。今年も撫子さんは例年通り、サプライズのない誕生日を過ごした。